こんなときどうするの回答2


268号

A.そうですね。最近、報道等でよく取り上げられている「優生保護法」ですが、そもそもなぜこのような法律が存在していたのでしょうか。「優生保護法」とは何だったのか。私情をいれずに書くことが難しいので、違うところもあるかと思いますが、ご容赦ください。

 戦後1948年に制定され、1996年まで存在していました。この法の名の下に精神障害・知的障害・神経障害・身体障害を有する人及びハンセン病患者の人に、同意のない強制的な不妊術が行われました。

 この優生保護法とはいわゆる優生学・優生思想の考え方に基づいています。第二次世界大戦前、ナチスの台頭で1933年にドイツで「遺伝病子孫予防法」(いわゆるナチス断種法)が制定され、優生思想という考え方が台頭していきます。(古くはヨーロッパ列強時代の植民地支配、その後のアメリカ白人至上主義に通じます。)

 このような思想が基となり、優生保護法というものが成立し、なんの疑問もなく強制手術が行われていたのだと思います。

実際に優生保護法の名の下に、強制的に手術を強いられた方たちが、各地で訴訟をおこしていました。各地で訴訟をおこしていた事が影響し、報道等で頻繁に取り上げられていたのだと思います。そんな中、2024年7月3日に最高裁にて、旧優生保護法は憲法違反だとする初めての判断を示しました。

 そのうえで「国は長期間にわたり障害がある人などを差別し、重大な犠牲を求める施策を実施してきた。責任は極めて重大だ」と指摘し、国に賠償を命じる判決が確定しました。その後政府は原告の方のみでなく、強制手術を行われた方全員を補償対象となりました。

 このことは、評価に値するのでしょうが、最高裁判決に至るまで、国は不法行為から20年が過ぎると賠償を求める権利がなくなるという「除斥期間」を一つの理由として訴えを認めてきませんでした。こういう人権意識がいまだに社会に残っているではないでしょうか。

 1996年というごく近年まで、この法律が存在していたということが、やまゆり園事件にも通じているのだと思います。障害者差別解消法という法律も出来ましたが、理解されているとは到底思えません。やまゆり園の報道もめっきり少なくなったと感じますし、逆にこのような判決が出ると、「障害者への補償など不要」だとか「優生思想は正しい」だとかという言うことが台頭してきたりします。

 優生保護法という法律が存在していたこと、やまゆり園事件というものが、なぜおきてしまったのか、根は一緒だと思います。この根を断ち切ることはおそらく無理だと思います。が、こういう根を限りなく少なくしていくことは可能だと思います。そういう社会になってくれるようまずは自分が無意識の差別をしないようにしていきたいです。(佐藤)


267号

A.中学3年生、卒業後の進路が気になってくる頃ですね。

 卒業後は「生活介護」をお考えでしょうか。

 「生活介護」とは、障害者総合支援法に定められた障害福祉サービスの中の介護給付の中で、日中活動に位置付けられているものです。

 「総合支援法」では、利用できるサービスが、障害の状況によって、細かく区分されています。18歳になると、区分認定調査(3年ごとに再調査)が行われますが、生活介護は、この区分認定の3以上の方、50歳以上は2以上の方が利用できるものです。

 受けられる支援内容は  「常に介護を必要とする人に、昼間、入浴、排せつ、食事介護を行うとともに、創作的活動、生産的活動の機会を提供する 」こととなっています。

 

ご質問の生活介護の時間が長くなったのは、以下の理由によると思われます。

 生活介護の介護報酬は、利用時間に関係なく、基本は日単位で報酬が決められていました。(4時間以下の減額あり)

 今回の報酬改定では、日単位ではなく、利用時間3時間以上から、1時間ごとに報酬の単位が設定されました。利用時間が長くなるほど、報酬が上がる仕組みですが、前年度までと同じ利用時間では、介護報酬が大幅に減額になるため、利用時間を伸ばす事業所も出てきています。(医療的ケアが必要な方や盲ろうの方などへの配慮あり)

 時間の面では、延長支援加算が設定され、9時間以上から、12時間以上を超える場合まで、時間ごとに加算が決められています。

 

 他の改定としては、定員の設定が変わりました。

 

 利用定員規模ごとの基本報酬の設定 ・ 利用者数の変動に対して柔軟に対応しやすくするために、また小規模事業所の運営をしやすくするため、定員を10人ごとに設定。重症心身障害児者対応の多機能型事業所の場合は、5名以下の定員も可能なりました。

 

 この他、医療的ケアの方への支援に焦点が当たっています。

 ・医療的ケアが必要な方への対応として、看護 職員の配置人数を評価。

 ・医療的ケアが必要な方又は重症心身障害者に対して、入浴支援を提供した場合の加算。

 ・医療的ケア・喀痰吸引等が必要な方に対して、登録した事業所において、必要な知識・技能を修得するための研修を修了した職員が喀痰吸引等を 行った場合の加算。 

 など、医療的ケア児の学校卒業後の成人施設への移行を見据えた支援が、具体的に提示されています。


266号

 

A.訪問診療を開始することで、通院が必要なくなる場合が多いです。 ただ、皮膚科や婦人科など、症状や病状によっては、一度、診察をしてから、専門の医療機関へご紹介することもあります。 また、総合病院などの専門の先生への通院を継続しながら、訪問診療で日常のサポートをする。ということは可能です。 内科へ通院しながら、皮膚科へも通院しているという形に似ていると思います。

訪問診療では、血圧などの測定、聴診などの体の診察、必要に応じた検査をして、薬の処方をします。 検査は事前準備が必要なものもありますが、血液検査、尿検査、心電図、簡単な超音波検査などが可能です。

医療的ケアとして、技術が進歩したため、いろいろなことができます。 状況にもよりますが、点滴、胃ろうのチューブ交換、尿道留置カテーテルの交換、酸素投与、人工呼吸器などがあります。 ただ、何でもできるというよりは、安全性を確保したうえでの医療的ケアになりますので、大きな病院での準備や引継ぎが必要な場合もありますので、事前の相談が必要です。

訪問診療を行っている医療機関とつながるためには、今の時代は、インターネットで調べることが一番の近道かもしれません。そこで、見つけた医療機関へ直接電話してご相談ください。 その場合、通院中の場合は、今、通院している医療機関からの診療情報提供書(紹介状)が必要です。 また、ご自身のコーディネーター、計画相談の担当の方との相談も必要になります。


265号

 

A.いつ発生するかわからない災害時への備えは、医療的ケアのあるお子さんの生命を守るためにも大切です。いざという時に慌てずに避難、連絡などの行動できるように準備していきたいですね。相談支援専門員(お子さんは療育センターのワーカーさんの場合があります)に相談してください。

 川崎市では令和元年の台風19号により甚大な被害が発生しました。令和3年に災害対策基本法が改正され、自ら避難することが困難な避難行動要支援者に対して、災害時個別避難計画を作成することが努力義務化されています。

医療的ケアがある方は相談支援専門員と医療的ケア児・者等支援拠点が情報共有または同行訪問等させていただいています。内容はご自宅のハザードマップの状況(地震・洪水・土砂災害)、風水害、地震での避難場所、避難方法、避難時の持ち物、避難支援者、医療機器の電源確保の状況、連絡体制などなど盛りだくさんですが、この計画を立てることで具体的な対策ができてくるのではないかな?と思います。まずは相談員さんにご相談してみてください。

他に情報として、川崎市防災アプリというもので、避難指示・避難場所・ハザードマップの確認ができます。携帯にインストールされるといざという時に役に立つかと思います。もう一つは災害時伝言ダイヤルは災害時に被災地への通信が増加し、つながりにくい状況になった場合に提供が開始される声の伝言板です。毎月1日と15日など体験利用できる日があるので一度利用してみてはいかがでしょうか。

 

<医療的ケア児等コーディネーター・相談支援専門員 増田>

 

障害者災害時時個別避難計画とは(川崎市ホームページより)

 

◆概要

本市では災害が発生し、又は災害が発生する恐れがある場合に、避難行動に支援が必要な災害時要援護者に対し、災害時の具体的な避難方法や安否確認の円滑化などを目的として、災害時個別避難計画の作成を行います。

 

◆作成対象者

  障害福祉サービス利用者のうち【独居等】の方で、次の(1)あるいは(2)に該当する方に対し、優先度を定めて作成を進めています。

(1)障害支援区分4から6の方(区分6の方については、独居等の要件を除く)

(2)移動に関するサービス(移動支援・同行援護・行動援護)の利用者

  なお、【独居等】とは、単身世帯以外にも、日中のみ独居の方や、障害者や高齢者のみの世帯を想定しており、できる限り多くの方を作成対象としています。


264号

 

A. 医療的ケアのあるお子さんが利用できるショートステイには、ソレイユ川崎があります。重症心身障害児短期入所事業のため、受給者証の他、身体手帳と療育手帳の両方が必要です。まずは、お住いの地域の療育センターにご相談ください。

 

その時に、医療的ケアがある場合はあんしん見守り一時入院事業という制度も利用対象になります。▶あんしん見守り一時入院事業(18歳以上)あんしん見守り一時入院事業(18歳未満)

市内に居住し、高度な医療的ケア(人工呼吸器による常時管理や頻回な吸引、中心静脈栄養、腹膜透析等)を必要とする18歳未満の方で、以下のいずれかに該当する方が利用対象となります。

(1)難病患者、(2)重症心身障害児、(3)医療的ケア児

右記以外の児童(18歳未満の者及び18歳以上の者であって高等学校に在籍している者)であり、医療機関による一時的な療養が必要であると主治医によって判断された方も利用対象となります。

他制度・他施策が利用できる方は、そちらが優先になります。

利用期間は原則同一月内のうち7日間まで。利用負担は、医療保険による一部負担金や日常生活上の必要となる費用は利用者の負担となります。

登録には、「申請書」「診療情報提供書」「患者情報提供書」等が必要になります。

まずは、医療的ケア児・者支援拠点にご相談ください。

【医療的ケア児・者支援拠点】

総合リハビリテーション推進センター(川崎区・幸区・中原区お住いの方)

044-223-6973

地域相談支援センターそれいゆ(高津区・宮前区・多摩区・麻生区)

044-281-0037

Q.兄弟児の用事の間だけ預かってもらえたらいいのですが。

A. 宿泊なしの医療型日中ショートステイ「特定短期入所」もあります。ソレイユ川崎(土曜日のみ)や、小児科のクリニックに併設しているHARMONIOUS(多摩区)もあります。
短期入所一覧(川崎市)

Q. クリニック(小児科)でのショートステイというのはあまり聞いたことがありません。どのような制度ですか?

A.「特定短期入所」という、宿泊なしの短期入所事業になります。

幼少児の医療的ケアのある方を中心に受け入れを行っています。「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律」に基づいた障害福祉サービスであり、ご利用の対象であるかの支給決定は自治体により行われます。

利用の際は、医療証・健康保険証・障害福祉サービス受給者証が必要になります。スタッフは医師や看護師の他、保育・療育・幼小児ケアを専門とした配置環境です。

どういう短期入所がいいのか迷ったら、まずは医療的ケア支援拠点に連絡し、相談してみましょう。


262号

A.医療的ケア児等コーディネーターとは、日常的に人工呼吸器や経管栄養等の医療的ケアを必要とする方とそのご家族が地域で安心して生活できるよう、医療、福祉、保育、教育等の関係機関と連携し、支援を総合調整する役割を担っています。


2021年9月に医療的ケア児支援法が施行され、関係する機関は増加してきています。コーディネータ―は医療的ケアに関する専門的な知識と経験を体得して関係機関との連携を行うキーパーソンとなります。

Q.どこにいらっしゃいますか?

A. 川崎市では令和2年と4年に医療的ケア児等コーディネーター養成研修が行われました。対象者は主に相談支援専門員、保健師、訪問看護師等です。私は昨年研修を受けて実際に相談支援員として利用者さんとかかわらせていただいています。修了者が所属している事業所は川崎市のホームページに記載されています。

 

Q. 実際、どんなことをしてくれるのでしょうか?

A.まず、川崎市には市内2か所、医療的ケア児・者等視点拠点があります。医療的ケア児・者の相談に特化した専門相談員が配置されています。実際に私たち医療的ケア児等コーディネーターは拠点の方から連絡が入り一緒に動いたり、アドバイスをいただきながら支援を行っています。

 

最近では、長期入院中に気管切開されて退院された方の訪問看護ステーション、ヘルパーの調整や通院時に利用できる福祉キャブの登録のご案内など、ご本人、ご家族が以前の日常生活と変わりなく安全安心に過ごせるような支援を考えています。

 

また災害時の個別避難計画を支援拠点の方と立てることも行います。医療機器の充電時間の確認や備品の確認など、もしもの時の心配事も一緒に考えています。医療的ケアがある方でまだ繋がっていない方はまずは支援拠点に連絡してください。

Q. 支援は子どもの時だけですか?

A. いえ、成人期以降も支援は継続していきます。ライフステージが変わるごとに支援者が変わり、情報共有がうまく図れず関係機関との連携が難しくなっている話を聞いたことがあります。

かかわる支援者が変わっても支援を途切らせることなくつないでいく、ライフステージを見通して一貫した「タテとヨコ」の継続的・総合的なつなぎの支援を行っていくことが重要と考えています。

また、ご家族も年齢を重ねてご様子が変わる時など、状況に合わせて支援の見直しや関係機関との連携を担っています。

総合リハビリテーション推進センター

044-223-6973

地域相談支援センターそれいゆ

044-281-0037


261号

A. 思い出してくれてありがとうございます。そうなんですよね。知っていた方も忘れてしまうくらいの認知度なんですよね。ちなみに今年度の内閣府の世論調査報告でも「知らない」が74.6%でした。ましてや障害者差別解消法にある合理的配慮のこととなると、一段と少なくなるでしょう。


内閣府や厚生労働省は周知のために、ホームページへの記載やチラシを作成していますが、ホームページを見たり、チラシを取り寄せるのは興味のある人だけだと思います。

話しがそれてしまいましたが、障害者差別解消法は2021年に改定されて、今まで公的機関のみが義務付けされていた、合理的配慮が民間事業者にも3年の猶予期間をもって義務付けされます。

とまあ法律的には何となく進んでいるようなのですが、これを民間事業者に周知となると、今の認知度の改善が出来ないと、かなり難しいのかなと感じます。

また川崎市では2019年12月、全国初ヘイトスピーチに罰則を設けた「川崎市差別のない人権尊重のまちづくり条例」という条例を制定し、当時は報道でもかなり取り上げられました。

この条例の中に

不当な差別 人種、国籍、民族、信条、年齢、性別、性的指向、性自認、出身、障害その他の事由を理由とする不当な差別をいう。

 

という文言があり、差別の対象者として、障害者も含まれています。この文言を見て”ん?”と思われる方もいらっしゃるかと思います。冒頭のLGBT法の成立で話題になった”不当な差別”という文言が含まれていて、障害者差別解消法にも同じく含まれていて、たくさんあるチラシにも含まれています。

川崎市のホームページにも同様に記載されています。が、この障害者差別解消法についてのところに、「障害のある方へのサポートブック」という障害の理解のための障害種別の特徴やサポートについて記したものを載せています。

その中の冒頭に

”ここでは、障害種別の主な特徴を記載しますが、同じ障害の種別であっても、状態や症状、ニーズは、一人ひとり違いますので、画一的な対応をするのではなく、柔軟な対応が必要です。としっかり書かれていて、取り組みはされているので、”不当な差別”という文言を訂正されていないのは残念です。

差別をなくすというのは容易ではないでしょう。まずは理解してもらうことを私たちが発信していくことかなと思います。


260号


A. そもそもはノーマライゼーションの理念を実現するために、川崎市として障害の有無にかかわらず誰もが快適な市民生活が営める、安心してゆたかに暮らせるそのような「かわさき」をつくるための計画として始まり、現在は「第5次かわさきノーマライゼーションプラン」として

~障害のある人もない人もお互いを尊重しながら共に支え合う自立と共生の地域社会の実現に向けて~

という表紙で始まる立派な冊子があります。詳しい内容がホームページから見れて、冊子として区役所などにも置いてあります。また、市のホームページには

本市においては、障害者基本法に基づく「障害者計画」、障害者総合支援法に基づく「障害福祉計画」、児童福祉法に基づく「障害児福祉計画」について、「かわさきノーマライゼーションプラン」として一体的に策定することで、障害福祉施策全体の推進を図っております。

とあり、障害福祉施策全体に関わる施策の方針や重点目標・サービス見込み量などが分野別で載っています。とてもボリュームがあり内容も多岐にわたっており、全て読み込むのには時間と労力を必要としますが、お時間のある方は是非お読みください。

Q.少し読み始めてみたのですが、第何期なんとか計画とかがいっぱい書いてあって、もうそこでめげてしまいました。

 

A. そうなんです。中身にこんな図が載っていて、これだけの他の計画も関連しているとなると、きちんと理解するためには、全ての計画も読まないといけないの?となってしまいますよね。

ただそれは到底無理な話しですので、まずは目次からご自身に関わるところだけお読みになる。でいいと思います。

計画期間の3年目には、令和6(2024)年度以降の障害福祉計画及び障害児福祉計画を新たに定めるとともに、国における社会保障制度改革の動向や、本市の障害福祉施策を取り巻く状況の変化等を踏まえ、必要に応じて、計画全体の見直しを行います。

とあり、今年はそのための団体ヒアリングが行われます。みなさんが関わっていらっしゃる団体等にもヒアリングがあるかもしれませんので、その際にはぜひご意見を上げて下さい。

川崎市総合計画
第5次かわさきノーマライゼーションプラン

かわさきノーマライゼーションプラン

第5次かわさきノーマライゼーションプラン【本編】
(川崎市のホームページより)

本編(前半)(第1部から第5部・施策体系図まで)

本編(後半)(第5部(各施策)・第6部・資料編)


259号

A.令和4年度より、特別支援校における医療的ケア児の通学支援に向けての試行が始まり、今年度より事業の本格運用が始まりました。

懸案事項がやっと動き始め、みんなと一緒にバスに乗れるようになったお子さんが喜んでいるというお話しを聞き、良かったな~と思います。

かなり前から問題とされていた件が動き出したことには大きな一歩であると評価

がある反面、個人的にはやっとかという思いが強いです。

我が家は様々な条件から学校の審議により、福祉車両による通学が認められました。しかし、週5日利用可能ではありますが、引き受けて頂ける事業所が見つからず、現時点で週1の利用で、他は相変わらず私が送迎しています。何故このようなことになっているのか、大きな問題点が二つあります。

①事業者を保護者が探さなくてはならない。

②学校に到着後解散で、看護師さんは事業所までバス、電車で戻らなければならない

の2つです。

どのご家庭も訪問看護ステーションとの関わりがあるかと思いますが、何ヶ所と契約しているご家庭は少ないと思います。いつもお世話になっているステーションからはお断りされました。何故なら学校に到着したらそこで解散だからです。

車両はそのまま事業所に戻れますが、看護師さんはバスや電車を使って戻らなければなりません。支援学校は概ね駅からだいぶ離れた場所にあるので、次のクライアントさんの訪問に間に合わないのです。バス電車の交通費は出ますが、タクシー代は出ないのです。

普段関わりのないステーションに通学だけ依頼するというのは、保護者の立場からすると、かなりハードルが高いです。

車両と看護師さん両方を抱えている事業所も、やはり時間的な問題や自分達の所の利用者さんの送迎があるため、子供一人の為に車両を出すことができず、行政からの依頼は来ているけれど…と消極的です。

まだ始まったばかりの事業なので、最初からうまく行くことは無いと理解はしています。しかし、現状のままで行くと、契約がうまく行った人は制度を利用できて、そうでない人は使えないという、公平性の観点からも問題が残ると思います。

制度があっても利用できなければ、その存在自体の意義が問われると思います。

県は、せっかく素晴らしい事業を始めてくれたのですから、誰もが使いやすい制度に改善していただけるよう、切に願います。


258号

A.保険制度を使って生活ができるのかとても心配ですよね。介護保険制度も障害福祉サービスと同様で3年に1度改変があり、その都度区分のあり方や、自己負担など大きく変わっています。私自身も65歳になった時にどうなっているのか、とても心配です。

まずは現状どのようにしたらよいのかを、質問者の方と一緒に、とある障害担当のワーカーさんを尋ねてお話しを聞いてきました。

◆障害担当のワーカーさん

65歳になると介護保険制度を使う。というのはその通りです。介護保険を使うという申請をご本人(代行可)が役所に申請していただきます。原則介護保険制度のサービスを使うことが優先となります。

ただ、いきなりすべてを介護保険制度で行うというわけではなく、準備期間を設けます。これは人それぞれとなりますが65歳到達前の2ケ月前からと利用者の状況によっては半年前から準備期間として、計画相談作成担当の相談支援専門員・区役所担当ワーカー・ケアマネージャー・関係機関などで、その人にとってこれまでと同様のサービスが介護保険制度のサービスで行えるか、介護保険制度のサービスでは困難ではないか、などを話し合います。

その上で介護保険制度のサービスでは困難と思われる部分については、障害福祉サービスを継続します。

今回ご相談に来られた方の場合、長時間の重度訪問介護サービスが主体での生活となっておられて、介護保険制度のサービスには長時間のサービスがありませんので、その部分ににおいてはそのま重度訪問介護サービスで、短時間のサービスも何か所かありますので、そこの部分は介護保険制度のサービスへと移行となる、という事になると思われます。

どこまでが介護保険制度のサービスへ移行できるかは、人それぞれで異なりますので、65歳になる時期が近づきましたら、担当区役所ご相談ください。


257号

A.当事者Nさんから、対応策をいただきました。

言葉が意味をなさない自閉症の娘、感情の言葉が中心で主語のない言葉の私、言葉を言葉の意味通りに理解する夫。この3人の関係は最悪で、毎日トラブルの連続でした。トラブルが起きた時、私が精神科を受診したことがきっかけで夫がASDということが分かりました。

医師から説明を聞き、行動を理解することはできましたが、夫は娘の声に敏感で、娘の声でテレビの音が聞こえない、仕事をしていると集中できない、娘をほめても、また約束を破り、ほめたくなかったのに褒めたことは間違いだったと怒り、娘との関係は最悪でした。

考えた末、父と娘が一緒に暮らすことは困難と考え、娘の方をグループホームに入居してもらいました。距離を取ることで、娘のことは安心できるようになりました。残った夫婦の問題については、川崎市発達相談センターゆりのきに相談したり、フルリールかながわの当事者会に参加していますが、トラブルは減りませんでした。 そんな時、ADHDの人が主人公のテレビドラマを夫婦で見ていて、夫から「お前はこれだ」と言われ、私も自分のことを納得。ゆりのきの相談員の方に話し、私が忘れやすいことは、メモに貼ったり、夫に伝えることはラインで伝えるなど工夫すると、トラブルは減りました。

夫は本を読み、私の特性を理解してくれるようになりました。これから、夫婦でお互いの特性を理解し、どのように距離をとるかが課題です。夫がASD妻がADHDの方は結構おられるようです。 私はゆりのきとフルリールカフェに相談しています。


255号

A.ご参加くださいましてありがとうございました。

毎年重度訪問介護従事者研修会を行っていますが、毎年同じく受講生はそんなに居ません。私も人数の少なさには驚いています。私も支援を必要としているひとりです。重度訪問介護のヘルパーさんは時間が長いのでとても大変だと思っています。現実に私は朝9時~18時30分まで入ってもらっている本人です。

そうですね、私も受講者が増えるよう願っています。そうしないと私達障がいのある人の一人暮らしは無理だと思っているからです。こういう研修を増やしていきたいと私も思っていますが世の中の皆さんが関心を持っていなければ無理なのではないのでしょうか。

川崎市の重度訪問介護の現状は、他の介護は単価が高いにしては重度訪問介護の単価は低いと聞きました。一番重労働の重度訪問介護の単価が低いと言うのは私も納得がいかないです。

現に今現在ヘルパーさんが少ないので私もネットで調べて、重度訪問介護と書いてあるところに電話で問合せして聞いてみると「すみませんが今は重度訪問介護していません」の連続でした。探すのが大変なくらい無いです。これでは障がいを持っている人の一人暮らし、地域で生きていきたいと思っている人の心はどうなっていくのか心配なので私もなんとかしていきたいと思っているしだいです。

このへんで私がヘルパーさんに何をしてもらっているかを、聞いてもらいたいと思います。

私の生活は午前中に髪をとかしてもらい顔のことをしてもらい(朝、夕)部屋の掃除、主に拭き掃除・買い物・食介・昼夜食事の用意、からだを寝かせたり起こしたり、トイレに入れてもらう、STなどの時に使った道具を捨ててもらったり洗ってもらったりしています。

後、健常者の人と違うところは、トイレットペーパーを折ってもらっています。細かいことを書くともっと沢山ありますが、とにかく重度訪問介護の単価が低いことは私も納得が出来ません。


254号

A.近所の方と上手くいかないとつらいですよね。ましてその原因が障害に起因するものだとなおさらだと思います。今の都市部で近所づきあいをしていくというのはなかなか難しいかと思いますが、障害者地域で一人暮らしをしていること、街に出てみると車椅子の人や、知的や精神の障害の方だろうな、という人たちをみかけないほうがめずらしいと思います。

このように変わってきたのには、街に出て罵声を浴びせられたり、地域で暮らして前者の方と同じような思いをしても、自分をさらけ出して理解を求めようとされてきた、先駆者の方や、障害者団体の行動のおかげだと思います。

いまだに障害が理由でみんなと同じ学校に通えないとか、一人暮らしをするためのアパートを探すのが大変だとか、グループホームを作ろうとして地域住民が反対運動をするとか、いろいろな偏見があります。

いわゆる差別や偏見をなくしていくのは、簡単なことではないでしょう。この差別や偏見をしているといわれる方たちを、一方的に責めることは出来るのでしょうか。

このような方の多くは、今まで障害者とふれあう事もなく、障害について学ぶ機会もなく、ともすれば障害者はふれてはいけない存在、危険な存在という社会の風潮の中で暮らしてきたのではないでしょうか。

このような、社会の認識のズレをなくすために障害者権利条約や障害者差別解消法があるのだと思います。私たちが一方的に相手を責めても変わらないと思います。

 

粘り強くお互いが理解出来るようにしていくしか、ないのではないでしょうか。


253号

A..東北大震災の時、川崎市は震度4~5でした。びっくりするような揺れを経験しましたが、一部を除いて、建物の崩壊はありませんでした。それでも停電になり、都心との交通は途絶。多くの方が帰宅困難者になりました。そんな時、登戸にお住いの方から「(障害のある)息子が、通所先から帰って家にいるのだけど、家族は誰も家に帰れない。一晩、ひとりで過ごすことは心配。助けてもらえないか。」という連絡が入りました。幸いご近所だったので、マンションにお迎えに行き、一晩一緒に過ごしました。

今回のご相談を聞いて、あの時のことがよみがえります。

川崎では、初めての大規模地震を経験し、いかに備えがなかったか、多くの教訓が残りました。現在、学校や通所などそれぞれの場では、防災マニュアルなどが作られ、訓練もされてはいますが、災害はいつ何時襲ってくるかわかりません。ご自宅だったり、外出先であったり、お一人お一人が、いろいろな状況を考えておく必要があると思います。

そういった中、川崎市では、今、災害時個別避難計画の作成を進めています。

「本市では、令和元年10月に発生した台風19号により甚大な被害を受けたことを踏まえ、避難行動に支援が必要な避難行動要支援者に対して、平時から生活面で関わりのある、相談支援専門員や通所施設等の職員等が、災害時における具体的な避難方法の検討や、避難先での配慮事項などについて、一緒に考えながら、災害時の避難に関する災害時個別避難計画の作成をお手伝いします。

この避難計画を事前に作成することで、実際に避難が必要になった時に、迷わず避難行動をとることができるようになることを目的とします。」

台風19号の時には、多摩川の沿岸地域では、一時避難所である小学校等に避難する人であふれかえりました。一時避難所だけでなく、その場に応じた避難先を考えておくことも必要です。

この個別支援計画を参考に、ご本人と一緒に、相談支援専門員の方と、避難計画を立てておかれてはどうでしょうか。ハザードマップでの危険地域の確認や避難方法など、他の支援者とともに確認されておかれるといいと思います。

備える。かわさき

252号

 

A.ご指摘の通り、障害の状態や様々な要因により、車の種類や利用の仕方もみなさんそれぞれだと思います。今回は違う使用の仕方をされている、お二方の使用例をお聞きしました。

 

《Kさん》

我が家の車は、福祉車両では、ありません。長男は、座位はとれて35kgなのでなんとか抱き上げて車の助手席に座らせています。気管切開をしているのでゼコゼコしたり、ヒュウヒュウしたり、話をすることは出来ないので、運転しながらも気にかけています。

 

自力排痰のサポート、吸引器での吸引をする時は、中々車を停められずにバタバタしてしまいます。そのような状況があるので、助手席に座っていない車椅子ごと車に乗るようなタイプの車だと、目も届かないし、吸引器でも吸引も大変になってしまうのです。

 

気持ちに余裕もなくなって…いつまで助手席に座らせられるか?疑問ですが、気持ちに余裕を持って運転したいと思います。

 

《Oさん》

我が家は、座席が回転するタイプの車をつかっています。息子は、車に乗り込むのは困難ですが、車の座席に座っていることはできるので、このタイプを選びました。長距離をドライブするのが好きなので、座席に座る方が楽だろうと思いました。

 

座席が90度回転し、ドアの外に出てきて、さらに座席が下に下がるので車いすからの移乗は大変楽です。助手席が回転する車両はよくありますが、うちのは後部座席が回転するタイプで、スライドドアになっています。メーカーに相談して、探してもらいました。道路の脇に止める時も安全なので、使い勝手はいいです。

 

私は、この自家用車で福祉有償サービスに登録し、スタッフとして送迎サポートをしています。歩行が困難な方にも安全に利用してもらっています。